教会の建築に際して、教会のどの部分に(?)、どれくらいの予算で(?)、どのような内容の(?)作品をはめるのか。
当時、一般的に、ステンドグラスが国内で注文することが出来るとすら、あまり知られていませんでした。
そして、どこまでの技術力が有るのか(?)、デザインはどのように決めるのか(?)、建築とのかかわり方も不明でした。
現在でも、 多くの場合が、同じ問題を抱えています。

さて、貴重な寄付金により教会を新たに建てるため、大学で宗教学を教えておられ教育者でもある牧師様は、 たくさんの文献と資料から、ヨーロッパの教会の資料など、ステンドグラスの写真見本をいろいろとお示し頂きました。
「どのようなものでも制作は可能です。」と、私のことばを信じてくださり、礼拝堂と、そこに通じる階段室にも、ステンドグラスがはめ込めるように、フィックスのガラス窓を出来る限りたくさん配置されました。
今でこそ、ネットでたくさんの写真や映像が入手出来ますが、当時は特殊な書物のため貴重で高価なものでした。

私自身ラッキーな事に、ステンドグラスの制作方法は、身に着けたものの、踏襲しなければいけないようなシガラミモも、ビジネス見本もなく、単純にその建築物の求められる意図や、表現できる可能性をまっすぐに捉える事が出来ました。
そして、企画設計事務所と同じビルの同じ屋根の下、クライアント側の立場で専門家として提案していく、建築家的な発想がおのずと身に付いていました。

まずは、予算とデザイン。
この教会にたくさんのステンドグラスが入るようになったきっかけのお話しが有ります。

ある信者の体の不自由なおばあ様が、人々のためになるならと、寝たきりではありながら、お電話で多くの人々の相談者として、困った事が有ればと、お話を聞いておられました。
そんな時、たまたま母の友人で、事業を失敗したやさき、娘さんの結婚が決まっていましたが、親として何もしてやれないと、嘆かれて居られました。
その話を聞かれた例のおばあ様が、
「私の寿命ももう長くはありません。私の死後、多少でも、残ったお金をその方の娘さんのお嫁入り費用として、使って頂ければ幸いです。」と、くださったのでした。
でも、その方は「こんな貴重なお金を、自分たちのために使うことは出来ません。」と、このお金で新しく立てる教会に、ステンドグラスを寄付したいと申し出られたのでした。

そして、教会を新しく建てるタイミングで、一から自由にデザインすることが出来ました。