思い起こせば、正式に今の仕事をするまでにも、子供の頃からいろいろなカタチで作品?をハイシュツしてきました。
小学2年生の時に画いた水彩画。「想像上の海の中の生き物」カラフルな巨大魚を中心にライオンの顔をしたウミヘビや顔がたくさんある魚とか・・・・。
小学校卒業後も、額に入って廊下に飾られていた覚えがあるが、あの絵は、どこに行ったのでしょう?

中学3年生の時、何層もの色画用紙を重ねられたパネルをカッター(当時は小刀だったかもしれない)で、切抜き表現する技法で、かなり精密な置物のある風景を作ったパネル。
B4サイズぐらいの小さな作品でしたが、 今思うと、ステンドグラスの様に制作前に、緻密なデッサンと制作手順を計画しないと表現できないものでした。まるで、パズルを掘り出していくような作業が面白くて、夢中になって作りました。
出来上がって友人にプレゼントする予定の作品でしたが、提出後、どうなったのか?
当時、美術の教師だった佐々木ソウロク?先生から、満天に近い98点の成績は頂いたのですが、 結局手元に戻って来ませんでした。
そのころから、油絵や、リトグラフ風の作品を次々と画いては、乞われるままに、小額で売ったりしていました。
当然、申告はしていませんでした。

あの頃から、作品は手元に持っている趣味はなく、 出来上がると、満足して、「素敵!」とか「凄~い!」とか言われると嬉しくなって、「どうぞ!あげるよ。」て、そんな調子でした。

しかし、プロになって、お仕事を請け、搬入すると、正直な所それだけで嬉しくて満足はしているものの、次もまた作るために、お代金を 頂戴し、見積額が上がれば上がるほど、手間賃も材料代も、気にせずつぎ込める安心感から、益々もっと良いものが作れると、ワクワクしたものです。

困った事に、基本的な発想が、我が最愛の父と同じで、父は鉄鋼所を祖父の代から引き継いだのですが、設備機械やロボットなど、毎回初めて作る仕事をすのですが、研究開発費は自腹で、世の中にない良い物を作り、注文主が「すごく良いものが安く出来ました。有り難う!」と、喜んで頂けるだけで満足で、会社としての利益をあげ利潤を追求し、社内や家族に還元し、税金によって社会貢献すると言う、企業のトップとしての資質などは全く無く、先代から引き継いだ、土地をどんどん失って行き、会社を閉める事になりました。

私は、建築空間の中で、もっと表現できる可能性を訴えたくて、(都市に綺麗な場面をたくさん作りたいだけで)1992年に大阪中之島の公会堂で、提案型の大掛りな個展を開き、次のステップに進もうとしたのですが、タイミングが悪く、バブル崩壊の年となり、日本中の空気が抜けた様になりました。
そこから、注文以外に緻密で絵画的な作品を作るようになりました。(インターネットで海外向けに、浮世絵シリーズを作り始めました。)1992年当時、例によって、ちょっと?いや、かなり早すぎた発想でした。

ネット環境もまだ定まらず、デザイン制作用にマックを買い、大変高価なソフトとスキャナーとショウカ型プリンターで、大型高級輸入車並みのお代金がかかりました。


20年程前から、 ステンドグラスの表現力の可能性を追求し始めました。

そして2003年、神戸進出と同時に左目失明の事故から、 益々、利益ではなく、内なる美の追求が
(カッコ良く言えばそうですが、左目が開かず、顔面を強打した後遺症が取れず、人前に出たくなくなったのが要因としては大きいのですが)自分にとっての存在理由になっていました。

で、そのころ作り始めた作品が、今、販売を始めました。
作りたくて!あるいは、いろいろな理由で作品の展示を頼まれた事がきっかけで、作らせてもらった作品です。

その時も、販売する事を対象に考えてい た訳でなく、ちょっと、やり過ぎ感があるとか、どこまでかけるの?っと、問いたくなるような、手間も素材も盛りだくさんで、値段の付けにくい作品たちです。

そんな作品たちも、これまでは人目にふれるチャンスすらあまり無かったのですが、このところ、身近な人たちの間で、購入が相次いでいます。
購入して頂いた方々が「本当に素敵!」「陽の当たり方で表情が変わるってこういう事なのね」などなど、喜んで頂く事がとても嬉しく、ステンドグラスの魅力をお届けできたことを喜んでおります。


そうそう、プロになって行方不明になった作品が、数点あります。
20年以上前に、大阪の大型水族館の隣にマーケット・プレィス?だったでしょうか、マリンショップに展示販売していたお魚関係の、ランプと絵画的なお魚モチーフの作品が、ショップ共々消えてしまいました。

お魚の形をしたランプが海藻のスチールランプ台に泳いでいるような作品と金色のアロアナとニジマスの額装作品が、行方不明のままです。

プロになって35年間に、数知れず制作して来ましたので、沢山の作品がそれぞれの所で輝き、多くの方々の目を楽しませて居てくれることを望むばかりです。